バイオリンフレットシール Fiddle Fretterを使いこなすポイント

バイオリンフレットシール Fiddle Fretterを使いこなすポイント


非常に手軽で便利なバイオリンフレットシールですが、お手持ちの楽器に単に貼っただけでは音程がいまいち合わない場合があります。
でも大丈夫。正しい調整と貼り付けをすれば正確な音程で弾けるようになります。
私が調整時におこなっているポイントをご紹介します。

大きく分けて2つ、
「フレットシールの貼り方編」
「楽器の調整編」


この両方を押さえれば完璧です。

では行ってみましょう!

 

★フレットシールの貼り方編★

バイオリンフレットシールは一般的な4/4サイズのバイオリンに合わせてフレットを配置して作ってあります。

ただ一般的なバイオリンとはいっても、楽器ごとに寸法が微妙に違う場合があるのです。

その昔ストラディバリ以前はもっと寸法がバラバラだったそうですが、ストラディバリ以降~近年は弦長330mmが基本となっていった経緯があります。

さらにここ最近はもうちょっと短くて弦長が約325mmくらいの楽器が多くなってきていているのが現状です。

 

まず下記の画像のように、バイオリンの弦長を測ります。測る位置はナット(上駒)端部からブリッジまでです。つまり弾いたときに弦が振動している部分の長さですね。

 

次に測った弦長の半分の長さのところに印をつけましょう。

例えば弦長が325mmなら、162.5mmの位置。

弦長が330mmなら、165mmの位置です。

 

次にフレットシールを貼っていくわけですが、弦はある程度緩めて指板の部分に貼りやすくします。このとき弦を緩めすぎて魂柱が倒れてしまわないように気をつけましょう。

先ほど付けた印と、フレットシールの12フレット目の位置を合わせて貼り付けます。

 

なお、このとき弦長が長め(330mmくらい)の楽器ではナット端部とフレットシールの上端が1~2ミリほど間があくことになりますが、それでOKです。弦長325mmくらいの楽器の場合はナット端部とフレットシール上端がほぼ接する感じになると思います。

 

弦を張りなおし、もう一度弦長が最初と同じになってるか、弦長の半分の位置に12フレット目が来ているかを確認します。

もし駒の位置がずれていたら最初に測った時と同じ位置に直します。

 

調弦して、12フレットを押さえて弾いた音程と、12フレット上で出す「フラジオレット」の音程が合っているかを確認します。合っていたらOK。

もし微妙にずれていたら、駒の位置をほんの少しだけ前後に動かして修正します。

・フラジオレット音よりも12フレットを押さえた音程が高い時

 →駒を後ろ方向(テールピース側)にずらす

・フラジオレット音よりも12フレットを押さえた音程が低い時

 →駒を前にずらす

※ずらす範囲は0.5ミリ~2ミリ程度

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★楽器の調整編★
楽器の状態をチェック!
(1)ナット溝の高さが適正か
 ナット溝が高すぎると後述のようにピッチが合わない・弾きづらいですし、ナット溝が低すぎると第1フレットと弦が接してしまい解放弦が鳴らなくなります。

(2)駒の高さが高すぎないこと
 駒の高さが高すぎるとこれもまたピッチが合いにくく、しかも弾きにくい状態になります。

(3)駒を立てる位置を少しずらしてみる
 駒の位置を~2mm程度までの範囲で後ろにずらしてみましょう。(1)と(2)がクリアできた上で(3)を行うと理想的です。
12フレット上でフラジオレット音と12フレット実音が同じピッチになる位置を探ります。

ほとんどの場合、この3つのポイントを調整すればきれいなピッチが得られるようになり、フレットシールの効果が最大限に発揮されます。


ケースごとにもう少し詳しく解説しますと
・1フレット付近のピッチが合わない場合
1フレット付近のピッチが合わない場合で考えられるパターンとしましては、まず、ナット部分の弦高が高すぎる場合が考えられます。
この場合、ナット溝を調整し、弦と指板の間隔を適正な距離にすることでピッチのズレが解消します。それと同時にかなり弾きやすくなります。
ナットが高すぎると、押弦したときに弦が必要以上に引っ張られ、ピッチが上がってしまうからです。
弦と1フレットのてっぺんとの隙間が、名刺1~2枚(約0.2mm~0.5mm)の高さになっていると理想的です。

・第7フレット以降の高いポジションでピッチが合わない場合
駒(ブリッジ)の高さがあまりに高い場合、上記と同じ原理でピッチが合いづらくなります。弦高の目安として、E線弦の下部と指板の先端部分の間隔
E線・・3.7mm~4.0mm
G線・・5.0mm~5.3mm
程度が目安です。


木製のナット溝や駒を削る調整をご自分でされる際は、木を削りすぎると元に戻せませんので十分にご注意下さい。もしご自身では不安があるようでしたら調整を承っておりますのでお気軽にご相談ください。

ナットや駒に問題がない場合で、駒を立てる位置を少しずらしてみて、それでもピッチがおかしい時には、
弦を替えてみると解決する場合もあります。(古い弦は、ピッチはどうしても不安定になります。新しい弦に替えたり、弦の種類・銘柄を替えると解決する場合もあります。やってみないとわからない所が辛いところですが・・・)

また、禁断の裏ワザとして・・・
フレットを指の爪でゆっくりググッと押すと1mm程度までは移動させることができます。1つ1つ音を確かめながら、ご自分の楽器に合うようにフレット位置を微調整することでより正確なピッチが得られます。ただしこれもあまり大幅に移動させるとフレットシールが劣化しますのでご注意下さい。

 

 

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